現在感じている症状には仕事、スポーツ、普段の癖などさまざまな原因が考えられます。では同じように生活しているのに症状が出る方、出ない方がいるのはなぜでしょうか?
正常な動きを知ることにより患部だけではなく他の箇所も問題を起こしているのではと考えることができます。膝に症状がある患者さんにもすべての関節が正常であるか検査をしておく必要があります。例えば歩行時には右膝は左腕と共に動くため左腕の動きが右膝に影響を及ぼしている可能性があるからです。
膝の曲がり具合(左右)
股関節の動き 内側(左右)
股関節の動き 外側(左右)
肩甲骨の動き(前後)
腕の上がり具合
上のイメージを参考にできるところだけ行ってみてください。患部以外にも異常が起きていることが多いというのが分かると思います。
また、上のイメージのような動きができない場合には、以下のような状態になっていることが考えられます。
頭の左側は右よりも下がっている。
施術後は真っ直ぐになっている。
左側が下がっている。
施術後は水平になっている。
ライフライン
当院ではライフラインというチャートを患者さんに差し上げています。これは海外の医師が来院した患者さんに問診した結果次のような出来事が症状に対し重要であるとまとめた図です。この図は出産時〜2歳、幼稚園〜小学生、中学生〜成人、20〜25歳、25歳以降と各年代においてどのようなケガが原因でからだが悪くなっていくかを示しています。
悪い出産とは早産、逆子、帝王切開、吸引分娩、長時間要したもの、へその緒が首に巻きつく、未熟児、母親に力が無く医師に首を引っ張られるなど、また悪い状態とは粉ミルクを使う、横に寝かせたまま哺乳瓶でミルクをあげる、背中を持って横抱きなど。特に最近の若い母親はスマートフォンをいじりながら哺乳瓶を子供に持たせるなどかなり悪い状態で授乳しているので注意が必要です。出産時は首を引っ張られたりする影響で首の上部に非常に強いストレスがかかります。授乳時も横抱きにしたり、高い高いをすることによりやはり首の上部に問題が起こります。
出産時、授乳時に問題があってもハイハイをしっかりしていていれば脊椎の安定性はある程度保たれますが、現代の家は敷地が狭いためハイハイをするスペースが無く、生活が洋風になって来たため椅子や机に掴まってしまいハイハイをする前に立ち上がってしまいます。ハイハイをしていない子供は脊椎の安定性が弱いため立ったときの安定性が保てなくなり、また立ったときの安定性が弱いためフラフラして尻餅を多く着くようになります。手をあまり使っていないので前方への転倒時に頭や顔面をぶつけます。1〜2歳では尻餅により仙骨(仙椎)を骨折していることが多いです。
出産から歩行に問題があった子供は運動をしてもよくケガをするようになります。出産から歩行まで問題が無くてもこの頃は遊んでいて転倒したり、友達に後ろから押されて転倒したり、高いことろから落ちて頭を打ったりしています。人生のほとんどのケガがこの時期に起こっています。
これまでに問題が起こっていた子供はここで初めてさまざまな症状を感じるようになります。中学、高校と生活習慣の変化などによりからだが対応しきれなくなってきて、成長痛などもこの頃に起こります。また運動部に所属している子供は相手との接触などによりケガをしてしまい今後の人生に大きな問題を起こすことになります。
この時期は運転免許を取得し最も交通事故の多い時期でもあります。交通事故によるダメージによりからだにさまざまな変化が起こるようになり、運動をしなくなった人も多く健康は下降線をたどりはじめます。
自分では気を付けていても車で追突されたり、足を滑らせ転倒したりするなどアクシデントでからだが悪くなる時期でもあります。このままの生活では25歳以降の人生はどうなるかわからないので注意が必要です。
これまでにさまざまな外傷を経験してくると症状は40歳前後で強く感じるようになります。問診で症状を聞いていくと外科的な症状以外に内科、婦人科など外科的な症状以外を経験されている方が多くいらっしゃいます。この時に病院に通院しても過去に原因があるわけですから当然治ることはありません。患部の症状のみを改善させようとすると今度は違う箇所の痛みや今まで無かった内科的な症状を感じるようになります。『最初は腰が痛かったけど、今度は右腕が痛くなってきた』『今までなったことの無いギックリ腰になった』などのご経験をされたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?これは原因が違う箇所にあり、刺激したことによりかえってからだが反応し防御しようとする働きです。好転反応とも呼ばれますが科学的な検査で原因を調べない限りそれが好転反応なのか悪い反応かを判断するのは難しいと思います。
このように患者さん自身が感じている症状は最近覚えているきっかけが原因ではなく出産時から起こる外傷が原因になっているということを理解してください。その外傷により『からだの軸』に問題が起きています。外傷によるダメージは時間と共に構造の変化を引き起こします。構造の変化により姿勢や関節の可動域などの外科的な機能障害を引き起こし、同時に神経機能の低下や亢進など内科的な機能障害も引き起こします。例えば10年前に買った電子レンジが、朝起きて使って問題無かったのに夕方急に動かなくなるのと同じです。同じように『からだの軸』に問題が起こると足の長さに左右差が現れます。膝の変形が最初から両方に出ないのはこの足の長さに問題があるからです。足の長さが揃わない限り反対の膝にも問題が起きてきます。
外傷により受けたダメージが経年により構造的な問題を引き起こします。構造的な変化は神経機能にどのような影響を与えているか理解しておくことも重要です。外科的な症状には同じレベルの内科的症状も現れます。例えば腕と腰に外科的症状を感じている方は血圧や呼吸器などの疾患で通院されている方が多く見られます。これは第6、7頚椎が外科的には腕、腰を支配し、内科的には肺や心臓を支配しているからです。内科的な症状を訴える患者さんは同レベルの関節可動域などを調べる必要があります。
このような問題は1990年代から海外ではポピュラーな情報です。但し現代は生活習慣の切り替わりに人間がついていけなくなっていることも事実です。例えばハイブリッドカーやスマートフォンです。つい20年前までこのようなものが普及するとは誰も思っていなかったと思います。このような生活習慣の変化の中で特に問題になるのはストレスです。2015年7月にNHKの特番で腰痛特集を放送していました(※1)。3ヶ月以上続く腰痛は腰には原因は無くDLPFC(背外側前頭前野)の体積の減少により痛みがコントロールできなくなった状態であり、その原因はストレスです。今まで言われてきた椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症は痛みの原因にならないといった内容です。当院でもさまざまな検査で確認すると異常があっても症状が無い患者さん、異常が無いのに症状を訴える患者さんが多数いらっしゃいます。そのストレスというのは、現代ではスマートフォンを含む太陽以外の光や睡眠時間の短縮、遅延、布団からベッドへ、肉体作業から事務作業への労働環境、床から椅子への生活様式、和食から洋食への食生活、などの生活習慣の著しい変化が考えられます。
※1:引用 NHKスペシャル「腰痛・治療革命〜見えてきた痛みのメカニズム〜」2015年7月12日放送分
症状を改善させるには原因を理解し施術することが必要ですが原因を取り除いているだけでは症状の改善にはなりません。良い状態を保つには日頃から以下のような行いが必要です。これ自体が良い施術、治療になっていきます。
当院ではからだに変化が起きてきた患者さんに対して、食事や運動などの知識を深めていただくために定期的に勉強会を開催したり、日頃の運動不足、筋力低下を改善するためにトレーニング指導も行っております。また普段履いている靴などもからだに合ったものを選んでいただくために店舗まで同行し、選ばせていただくなどのサポートも行っております。
当院では定期的に勉強会を開催しております(初回無料)。内容は食事、睡眠、運動などをテーマに行っております。詳しくはお問い合わせください。
からだの状態が安定してきた方には、毎週月・土にトレーニング指導を行っております(初回無料)。今のあなたに必要なトレーニングをからだの状態に合わせて指導いたします。